喉とは

喉とは

一般的に喉といわれている範囲は、医学的には咽頭や喉頭と呼ばれている部分になります。

咽頭というのは、鼻腔後端から食道の入り口付近にあたる部位のことで、さらに上咽頭(頭蓋底~軟口蓋の部分)、中咽頭(軟口蓋~喉頭蓋の部分)、下咽頭(喉頭蓋~食道上端)に分けられます。
また喉頭は、喉頭蓋から喉頭口を経て、輪状軟骨(気管の入口付近)までが範囲となり、声帯などが含まれます。

この咽頭・喉頭については、呼吸、発声、嚥下(飲み込み)などの働きをします。
これらに異常が出現すれば、上記の役割を果たせなくなり、様々な症状が現れます。

喉付近に違和感を覚える、あるいは病気が疑われるといった場合は、お気軽にご相談ください。

以下のような症状に心当たりがあれば、一度当院をご受診ください

  • 喉に痛みがある
  • 喉が腫れている
  • 痰や咳がよくみられる
  • 痰に血が混じっている
  • 飲み込みにくさを感じている
  • 口が乾く(ドライマウス)
  • 声がかれている(嗄声)
  • 味を感じない
  • 喉がイガイガする、違和感がある など

喉にみられる主な病気

扁桃炎

扁桃炎とは

扁桃と呼ばれる部位に炎症が起きている状態を扁桃炎といいます。
扁桃は4部位(口蓋、咽頭、耳管、舌根)に存在し、その中でも口蓋垂(喉ちんこ)の両脇にある口蓋扁桃に炎症がみられている状態を急性扁桃炎と呼ぶことが多いです。
ちなみに咽頭で起きる炎症でもあり、扁桃炎は咽頭炎の一種でもあります。

同疾患は、口蓋扁桃に細菌やウイルス等の病原体が感染することで発症します。
口蓋扁桃の周囲には、細菌やウイルスは通常でも存在しますが、身体の免疫力が低下すると、これらの病原体が異常増殖し、急性扁桃炎を発症します。

主な症状は、強い喉の痛み、発熱、飲み込む際の痛み(嚥下痛)、全身の倦怠感などです。
痛みが強い時には食事や水分を摂ることができず、脱水症状などを引き起こすこともあります。
この急性扁桃炎を繰り返していると慢性扁桃炎と診断され、口蓋扁桃を切除する手術療法が検討されます。

軽症もしくはウイルス感染が原因であれば、熱を下げる、あるいは痛みを和らげる効果があるアセトアミノフェンやNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)等を用いた対症療法となります。
また、細菌感染が原因であれば、原因菌に対する抗菌薬(ペニシリン系 等)が使用されます。

咽頭炎

咽頭炎とは

咽頭(鼻や口腔の奥の部分)で炎症が起きている状態を総称して咽頭炎といいます。

細菌やウイルス等の病原体による感染により急性咽頭炎を発症します。
なお、急性咽頭炎がなかなか治りきらない(3週間以上)、喫煙や飲酒での刺激による炎症が続いているという場合は、慢性咽頭炎と診断されます。

喉の痛みや、発熱や全身倦怠感などが急性咽頭炎の主な症状です。
また、慢性咽頭炎では、喉に不快感や異物感などがみられます。

急性咽頭炎の原因がウイルス感染によるものであれば、対症療法が行われます。
原因が細菌による感染であれば、抗菌薬(ペニシリン系 等)による治療となります。

慢性咽頭炎は、様々な原因で起きることがあります。
まずは、その原因を詳しく調べ、それに応じた治療を行います。

咽頭がん

咽頭がんとは

咽頭に発生する悪性腫瘍のことを咽頭がんといいます。
発症部位によって、上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がんに分かれます。

上咽頭がんは、鼻の奥で発生するがんで、発症にはEBウイルスが関係するとされています。
中高年世代(40〜70歳代)に多いとされていますが、30歳以下でも見られることがあります。
滲出性中耳炎が初発症状のこともあり、その際には耳閉塞感や難聴、耳鳴りを伴います。
また、鼻詰まりや鼻出血が見られることもあります。
病状が進行すれば、複視(物が二重に見える)、顔面の感覚障害なども現れるようになります。

中咽頭がんは、口蓋垂から喉頭蓋付近に発生するがんになります。
中高年世代が発症する場合は、長年の喫煙や飲酒等の日頃の生活習慣によるものです。
一方、若年の成人世代に起きることがあります。
この場合はHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染が原因となります。
よくみられる症状は、発音が不明瞭になる(構音障害)、飲み込み時に違和感や痛み(嚥下痛)、耳付近の放散痛などです。

また下咽頭がんは、喉頭蓋付近から食道の入口あたりまでに発生するがんです。
50歳以上の男性で、飲酒歴、喫煙歴のある方に好発します。
主な症状は、声がかすれる(嗄声)、物を飲み込みにくい(嚥下障害)、飲み込む際の痛み(嚥下時痛)です。

咽頭がんの有無については、内視鏡やCT、MRIなどの検査で判断します。
がんが疑われる場合には、組織を一部採取し、顕微鏡で詳細を調べる病理検査も行います。

上咽頭がんは、手術治療が困難であり、放射線療法や化学療法(抗がん剤による治療)が治療の中心です。

中咽頭がんは、飲み込み(嚥下)、構音(発生)といった機能の温存が非常に重要です。近年ではこれらの機能温存を目指し、化学放射線療法が選択されることが多くなっています。
なお、HPVによる中咽頭がんは、放射線療法や化学療法が効きやすいとされています。

下咽頭がんは、早期であれば、放射線療法単独、もしくは化学療法と放射線療法を組み合わせての治療となります。
進行がんとなった場合は、腫瘍のある部分を切除する手術療法が選択されます。

味覚障害

味覚障害とは

味覚が減退、もしくは消失している状態です。
上記以外にも特定の味がしない、何も食べていないのに変な味がするといったケースでも味覚障害が疑われます。

血液中での亜鉛が不足していることが多いとされています。
上記以外にも、薬剤、風邪、全身疾患などによって起きることもあります。
また鉄欠乏性貧血、何らかの脳疾患(脳梗塞や脳出血等の)や頭部外傷、ストレス等でも発生することもあります。

血液検査で亜鉛、鉄が体内でどれだけ含まれているかなどを確認することもあります。

治療は原因によって異なりますが、亜鉛が欠乏しているのであれば、亜鉛の内服、栄養指導を行っていきます。

また味覚障害については、原因疾患や薬剤の影響という場合もあります。
このようなケースでは、原因とされる病気の治療、同障害を引き起こす薬剤の使用の中止や変更などを行っていきます。

声帯ポリープ

声帯ポリープとは

声帯は喉頭に含まれ、発声の際に必要とされる器官です。
この部位にポリープができている状態を声帯ポリープといいます。

発症の原因としては、カラオケ等での声を酷使、上気道感染による粘膜の炎症、喫煙などが挙げられます。
これらの機械的刺激が続くことでポリープが形成され、声帯ポリープを発症します。

よくみられる症状は、嗄声(声のかすれ)です。
そのほか、大きい声や高い声が出にくいこともあります。

喉頭鏡や喉頭内視鏡で声帯の様子を観察したり、喉頭ストロボスコピーで、声帯の振動を観察したりするなどして、発症の有無を判断します。

発症から間もないケースでは、声の安静、禁煙などで経過を見ることもあります。

保存療法では症状が改善しない、ポリープが大きいといった場合は手術による治療となります。