睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠中に呼吸が一時的に止まってしまう状態にあるのが睡眠時無呼吸症候群(SAS)です。
7時間の睡眠で、10秒以上の無呼吸、あるいは低呼吸状態(換気量が通常の50%以下)が35回以上(1時間あたりで5回以上)ある場合に睡眠時無呼吸症候群と診断します。

SASには閉塞性と中枢性の2つのタイプがある

睡眠時に呼吸が止まる原因は大きく2つあります。
ひとつは、空気の通り道(上気道)が閉塞してしまうことで呼吸困難となってしまう閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)です。

日本人の全SAS症例の9割がOSASといわれています。
肥満(首回りに脂肪がつく)、扁桃あるいはアデノイドの肥大、舌の巨大化(舌根沈下)、生まれつき顎が小さいことなどが原因です。
これらによって、睡眠中に気道が閉塞し、脳に十分な酸素が届かないことで、様々な症状(中途覚醒、起床時の頭痛 、日中の眠気等)が現れるようになります。

もうひとつのタイプは、中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS)です。
これは、脳からの呼吸指令が途絶えることで無呼吸となってしまう呼吸中枢の異常によるものです。
この場合、気道は閉塞されていないので、いびきが出ることは少ないです。
主に心不全や脳血管障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)、脳腫瘍などに罹患している方に見受けられます。

なお、治療せず放置すると、睡眠時に十分な酸素が全身に届かず、脳や心臓などの臓器に負荷がかかります。
このような状態は、高血圧、脳血管障害、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)など重篤な病気を併発するリスクも高くさせるので要注意です。

以下の症状がある場合は睡眠時無呼吸症候群が疑われます

  • いびきがうるさい
  • 睡眠中に呼吸が止まっていると家族(同居人)に指摘を受けた
  • 朝起きると頭痛がする
  • 日中の活動時に強い眠気に襲われる
  • 夜中に目が覚めてしまう
  • 疲れがなかなかとれない
  • 集中力の低下に悩まされている など

検査について

問診や患者さまの訴えなどからSAS(OSAS)が疑われる場合は、発症の有無を確かめるための検査を行います。

当院では、簡易睡眠検査として、睡眠中の呼吸状態や酸素飽和度(SpO2)を測定できる検査機器を貸し出します。
検査の際は、同機器に付いているセンサーを指先や鼻の下に取り付けて眠りにつくだけです。

簡易検査の結果、詳細な検査が必要となれば、ポリソムノグラフィー検査を追加で行います。
この検査は、睡眠時の呼吸状態やSpO2だけでなく、脳波、眼球運動などの測定を行い、SASの有無や症状の程度を調べます。

その結果、AHIが5以上であれば、睡眠時無呼吸症候群と診断され、5以上15未満であれば軽度、15以上30未満であれば中等症、30以上の場合は重症と判定されます。

治療について

SAS(OSAS)の治療に関しては、症状の程度によって内容が異なります。
軽症、中等症の患者さまについては、オリジナルのマウスピースを作成し、就寝時に装着します。
下顎が前方に固定されるため、気道を保ちながら眠ることができるため、OSASの改善につながります。

重症と診断された患者さまは、CPAP療法となります。
専門の装置から圧力がかかった空気が送られ、それを就寝時に鼻マスク(鼻と口を覆うマスク)を用いて吸い込むことで、狭くなった軌道が広がり、呼吸が止まるのを防ぎます。
これにより鼻呼吸が可能となるので、いびきも治まるようになります。
なお治療期間中は、一定の間隔を空けて通院する必要があります。

さらに肥満の方は減量をする、就寝前のアルコールを控えるなど生活習慣の改善も必要です。

上記以外にも、扁桃肥大があれば扁桃を摘出する手術などの手術療法が検討されることもあります。